現代の資本市場において「有名人投票」を行うとすれば、真っ先に名前が挙がるのはやはりウォーレン・バフェット氏ではないでしょうか。
盟友チャーリー・マンガー氏の逝去に続き、ご本人の高齢化も懸念されていた中、ついに次世代へのバトンタッチが発表されました。質素な生活を貫きながら、チェリーコーラを愛し、卓越した長期的視点での投資哲学を体現されたその姿勢には、心からの敬意と感謝を捧げたいと思います。
バフェット氏をご紹介する際には、ジレットやコカ・コーラといった個別株への投資、いわゆる「ストック・ピック」が注目されがちですが、その本質は、バークシャー・ハサウェイをはじめとする保険会社や鉄道会社などの買収を通じて構築された「ビジネス・コングロマリット」形成にあるのではないでしょうか。
そして、その仕組みを現代の資本市場で愚直に(あるいは野心的に)再現しようとしている人物がいます──それがビル・アックマン氏です。彼がいかにして「バフェット式」資産形成モデルを再現しようとしているのか、ぜひご注目ください。
追伸:とはいえ、そのプラットフォームがハワード・ヒューズとは。これはいずれ映画化されそうなお話です笑。
FT記事:Bill Ackman completes quest to launch Berkshire Hathaway lookalikeより
ビル・アックマンは、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイを模範とするコングロマリットを創設するという長年の願望を実現すべく、新たな買収機構を設立したと月曜日に発表した。
アックマンは、すでに一部を所有している上場不動産開発会社ハワード・ヒューズの実質的な支配権を取得し、テキサス州に本拠を置く同社に対してさらに9億ドルを投資する。合意に基づき、同社は戦略を転換し、アックマンおよびその投資チームの指示の下、上場・非上場企業における支配権を取得する多角的コングロマリットへと移行することとなる。
アックマンは数か月にわたり本件を進めてきたが、ハワード・ヒューズの株主らは、パーシング・スクエアに対して年間数千万ドルに相当する可能性のある異例の報酬案に反発を示していた。アックマンは報酬条件を緩和することで合意し、本件の成立に至った。
ハワード・ヒューズは、アックマンおよび同社の最高投資責任者ライアン・イスラエルが率いる投資チームに対して、買収案件の探索業務に対し年間1,500万ドルを支払う。また、インフレ率を上回る時価総額の増加分に対し、1.5%の手数料をパーシング・スクエアに支払う義務を負う。
ハワード・ヒューズの取締役会によって設置された特別委員会は、当初の条件に対する苦情に対応した。新たな報酬体系は、今年1月にアックマンが提示した提案を阻止しようとしていた一部の大口株主からは前向きに受け止められている。
当初案においては、ハワード・ヒューズは時価総額の増加分全体に対して1.5%の管理報酬を支払う提案であり、閾値(ハードル)は設けられていなかった。だが新たな提案では、報酬は現時点の時価総額および発行済株式数に連動しており、新株発行により買収資金を調達しただけではアックマンに報酬が支払われない仕組みとなっている。
「この報酬体系の変更は、以前の提案から大きく修正されたものである」と、ある大口株主はフィナンシャル・タイムズに語った。「完璧な取引ではないが、特別委員会は意見を聞き入れた」と述べた。
一方で、他の株主は、アックマンの報酬に設定された閾値が低すぎると批判しており、S&P500やその他の厳格なベンチマークとの連動を求める声もあった。本件は株主の承認を必要とせず、月曜日に正式に成立した。
アックマンは、2008年の金融危機時に破綻したショッピングモール開発会社ジェネラル・グロース・プロパティーズへの投資という、彼の最大級の成功取引の一つからの出口戦略として、2012年にハワード・ヒューズを創設した。彼は株式を売却する代わりに、ヒューストン、ラスベガス、メリーランド、ハワイに所在する非中核資産を取得した。
アックマンは、これらの不動産が公開市場において過小評価されているものの、キャッシュフローおよび税制上の利点を活用することで、大規模な企業買収の資金源として活用可能であると長年信じてきた。
アックマンはプレスリリースにおいて、「ハワード・ヒューズの価値は、これまで一般株主に十分認識されてこなかった」と述べ、今後は「より成長が早く、高いリターンをもたらす持株会社を築くための優れたプラットフォームとなる」と強調した。
それでは今週もご自愛ください。