Snowflakeの花が咲く

2021年1月8日付 FT紙”Showflake backers set for ‘spectacular’ returnsより

https://www.ft.com/content/d8d28a8b-8ca9-4bce-9720-f83e53f66cc2

VC業界に詳しい方であればSnowflake社の存在をご存知かと思いますが、何をやっている会社なのか、私はよく存じ上げておりませんでした。記事によるとリモート環境で大量のデータを保存・分析する技術サービスを提供しているそうですが、コロナ禍の自宅待機環境を追い風にする会社の一つなのですね。

その企業価値はすでに$48Bnと算定されていますが、一部の少数株主は今週から売却を許されているようです。この株主に関する話題が本日の主題であります。

Sutter Hill Venturesという1960年代の半導体ブームの時代から活動しているVCが今回の勝利者として名乗りをあげており、その保有価値はなんと$13.3Bn、約1.5兆円です。すごすぎてピンと来ないのですが、ファンドと個人パートナー、そして関係会社での保有分を足しあげた価値。

面白いのがSutter HillがどうやらEvergreenのビークルとして設計されている点。通常はクローズドエンド型のVCが多いと思いますが、回収した資金を再投資に回せる、オープンエンド型をとっている模様。古くはREIT、MLP、BDCなどが存在し、最近はSPACなどの投資法人型ビークルに注目が集まっておりますが、似たような形なのでしょうか。

やはり期限を切っていないので、Exitタイミングの柔軟性があり「他のファンドより長い目で投資ができます」アプローチが売りとのこと。テック投資家のNaval Ravikant氏に言わせると「(個人の)エンジェル投資家の集合体というのが真の姿」。なるほど、そういうことですか。

このSnowflake案件はVC業界におけるメガ・ホームランの代表例に加わることは間違いないようで、上場以来123%の株価上昇を演じた同社の株はロックアップ条項を解除できる条件を満たし、初期投資家は保有株の25%を上限に売却できるようになった点が、AirbnbやDoorDashのように依然ロック・アップが外れない会社のとの違いになりました。

この新しいロック・アップ解除条項は今後のVC投資にも大きく影響を与えそうですね。Sequoiaも初期投資は見送ったものの、ファイナルラウンドで$270mmを投資済み。その価値はすでに20倍以上に。流石の腕力を見せております。

Sutter Hillの同社に対する投資倍率は1600倍。タイポじゃないです笑。1600倍です。Sequoiaは近年の大型IPO、Airbnb、DoorDash、Unity、Snowflakeに全て絡んでおり、$32.4Bnの投資価値に。3兆円以上!

また資本市場に大輪が咲いた、と言わせていただきます。

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