2021年1月20日付けFT記事 Brookfield bullish on future of office life より
先日から注目しているBrookfeildが運用する私募REIT非上場化の話題
上場REITを運用しているBrookfeild Asset ManagementのCEOが同社REITの非上場化するにあたりコメントをされています。経済的な視点もさることながら、同CEOの人生観が滲んだ、味のあるコメントもご紹介します。
CEOのBruce Flatt氏は59億ドルのREITを非上場化するにあたり、株式市場が本質的を正しく反映していない、という主張をされています。例として上海・デュバイ・オーストラリアのオフィスではテナントが戻って来ている事例を引き合いに、回復の兆しがあるとのお話しです。
ご本人も「市場には様々な意見があり、弱気の味方があるのも承知しているが」と仰っておりますが、そこで終わらせずに約6000億円のREITを非上場化する事で言動一致させる点がさすがですね。
2017年には27ドルをつけていた本REITですが、コロナ前から弱含んでおり、運用会社の評価が一株27ドルであるのに対して、19日時点では市場で17ドルと低い評価をつけられておりました。
ここで面白いのは投資家を入れ替えるという発想
では非上場化で何が変わるか。それはより長期の目線を受け入れる機関投資家へと株主を入れ替えるメリットにある点です。「我々は市場に対して誤ったストラクチャーを採用していた」とCEOのFlatt氏。
言うなれば、上場市場には「短期でしか評価しない投資家」ばかりなので、長期的な視点を持つプライベート市場の機関投資家と商売します、との決別宣言とも言えましょうか(もちろん、すべてのビジネスではないでしょうが)。
総額$540Bnを運用する巨大運用会社Brookfield。再生エネルギー、インフラストラクチャー、プラベートエクイティー、不動産と4つの上場している投資部門を持っておりますが、市場のストレスが高まる局面においてはプライベート市場のへの回帰も躊躇しない。そんな意思を感じる今回の動きです。
ちなみにFlatt氏はオフィス事情・市況見通しについて「仕事も人生も常に問題だらけ。だからこそ人とのつながりが大切だし、困難を解決するには場所、つまりオフィスが必要だ」と述べられています。通勤等の苦痛は別としてこの言葉には説得力を感じる私であります。
In business and life there are always problems and having a personal connection with others helps you work through those situations. That’s why office spaces are important.
Bruce Flatt, CEO of Brookfield Asset Management
本日も良い一日をお過ごしください。