”空のUber”が飛び立つ日:Wheels Up

2021年2月2日付FT記事 Private jet platform Wheels Up poised for New York listing via Spac merger より

何かと話題になるSPACですが、本日もその話題で申し訳ありません。FTを眺めていると(自分の興味があるせいか)どうしても目がいってしまうのです。

この狂騒はどこまで続くのか、という視点ではなくSPACを経由して面白い会社が間接上場してくるのでご紹介したく、この記事を取り上げます。

空のUberと呼ばれる会社Wheels Up

2013年創業のプライベート・ジェットを運行する会社です。この会社がとっても元気なんですよ。商業飛行がコロナで低迷する中、安全に移動したいというニーズをとらえ2020年はとても好調だった様子。

While business flying was down, personal flying was up.

Kenny Dichter, Founder and CEO of Wheels Up

会員になれば気軽に利用できるコンセプトを評して「空のUber」と呼ばれる存在です。

年間8500ドルで会員になれる

初年度は入会費などもあり、支払いが$17,500となるそうですが、翌年以降は年額$8,500からプライベート・ジェットを利用できる。同社のHPをのぞいてみるとダイナミック・プライシングなど導入したり、携帯端末から利用申し込みができて面白いですね。

単独利用だけでなく、ある地点まで飛ぶ人がいれば、そこに相乗りすることでお互い安くできる選択肢もある。

投資ファンドLキャタラン出身者がSPACを立ち上げ

ちょっと長いんですが、かっこいい名前のSPAC、Aspirational Consumer Lifestyle Corpが今回Wheels Upを買収する予定です。このベンチャーの企業評価価値は$2.1Bnの想定で、今年の第二四半期の上場を目指しています。

驚いたんですが、NYSEにおいては商用プライベートジェットのプラットフォーマーとしては初の(間接)上場になるそう。また、業界に詳しい方であればLキャタランと聞けば、LVMHか!とピンと来るかもしれません。やはりラグジュアリー分野にはしっかり絡んできますね。

SPACの株主に注目

さて、そのSPACですが株主の名前をみてみましょう。T Rowe Price, Fidelity, Franklin Advisorsなどが並んでいます。なんとなんと伝統的なミューチュアルファンドのマネージャー達が投資家なんです。

オルタナティブ投資をわかりやすく伝える、というのが私たちのミッションの一つでもあるのですが、伝統的なマネージャーたちがPEファンドの領域にどんどん突っ込んで来ている。もはや運用会社の名前だけで投資領域を推測するのは困難です。

プライベート・ジェットはコロナ後も人気

ワクチン接種により世界中のコロナ禍が収まることを願うばかりですが、プライベート・ジェットの旺盛な需要はポスト・コロナの時代においても継続するとみられています。

もちろん世界の旅行需要からすると、プライベート・ジェットが担う輸送量はほんのわずかなものかと思いますが、セクターとしてパンデミックにも強い交通・運輸企業があると知ることは有益かと存じます。

本日もよい一日を。

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