復調の兆し:欧州ダイレクト・レンディング事情

2021年4月13日付けFT記事 Direct lending deals in Europe bounce back to post fourth-quarter record より

欧州DL市場にも春のおとずれ

昨年のコロナ禍で低調だった欧州ダイレクト・レンディング市場も与信供与額が復調してきました。昨年の後半(7-12月期)では取引件数が前半に比べて52%増加。四半期ベースでみても10-12月期が最大の供与額となっております(デロイトによる調査)

後半の6ヶ月では与信件数が232件を記録し、2019年対比で見ると未だ25%減ではありますが着実に復調しているとの報道です。

皆様ご想像の通り、ワクチン接種が進む中で有効性が確認され、将来に対する見通しが立てやすくなったことが理由とデロイトの責任者が述べています。特に英国での案件数回復傾向が顕著で、ワクチン接種のスピードが経済的にも重要であることの一端を垣間見ることができます。

全般的には企業買収・合併活動は鈍かったが・・・

ダイレクト・レンディングは買収・合併などに活用される買収資金供与を目的とした”スポンサー型”と通常の会社運転資金あるいは設備投資に活用される”ノン・スポンサー型”に大別されますが、ご承知の通り欧州M&Aは活発でなかった2020年。しかしながらセクター別に見ると”スポンサー型”DL経由で活発に資金を取り込む動きが見られます。

具体的にはヘルスケア・ソフトウェア・食料・農業・保険分野などで活発な資金調達があったそうです。やはり案件の柔軟性と秘匿性が評価ポイントだそう。

コンサルティング会社Alvarez&Marsalのコメントを引用させて頂きますと、”すべてのダイレクト・レンディング会社が同じようにコロナの影響を受けているわけではない”

業績不振・資金調達難に苦しむ借り手に資金供給を行う”スペシャル・シチュエーション”と呼ばれる戦略では、政府の資金支援との競合となり機会発掘に苦労した年になりましたが、正常先に与信することが基本とされるダイレクト・レンディングに限って考えますと、”全体的に復調、かつセクター毎にみると非常に活況な分野が存在する”というのが今日の欧州DL市況と言えましょう。

本日もよい一日を。

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