投資戦略

アポロ・グローバル:復活の狼煙をあげる

輝きをとりもどせ

オルタナティブ運用会社の雄、と言えば間違いなく挙げられる運用会社であるApollo Global Management, Inc.(”Apollo”)少し前に日本に進出して話題となりました。そのApolloさんですが、最近少し元気がありません。

公開情報を眺めてみますとやや業績が不安定に見えますし、これまで取り上げてきたブラックストーンやブルックフィールドが順調に業績を拡大する中で伸び悩んでいるように思えます。Apolloをここまで大きくしたのは、クレジット投資分野の強化にあったと睨んでいますが、どうやらそれが裏目に出ている様子。

本日はその悩める王者Apolloを取り上げ、往時の勢いと足元の不振、それを打開する未来を展望してみたいと思います。

毎度のことですが、本稿は10-Kなどの公開資料に基づいて作成していますが、その正確性については保証しかねますことを予めお許し下さい。それでは久しぶりの特集、いってみましょう!

Writer in Chief: Takashi Miura

沿革

Apolloはドレクセル・バーナム・ランバートのM&A部門を率いたレオン・ブラックが、ジョシュア・ハリスおよびマーク・ローワンと共同で1990年に創業した運用会社です。米国NYが本拠地ですが、当然ながらグローバルに活躍しており米国の他、英国、ドイツ、ルクセンブルグ、スペイン、香港、中国、日本、シンガポール、インドなど15拠点を中心に業務を展開しています。そして2011年にNYSEにて上場を果たしています。

預り資産(AUM)は過去5年間平均22%の高い伸びを記録し、2020年末では4,555億ドルに達しています。その牽引役はクレジットと実物資産でして、特にクレジット関連のAUMは5年間で2.7倍の3,286億ドルに達しています。

図表1:ApolloのAUM推移

Apollo AUM

ビューティフル!順調そのものですね。

Apolloの強み

Apolloの特徴はクレジットのエクスポージャーが大手の中で大きいことがあげられます。AUMに占めるクレジットの割合はなんと72%で、その他のPE(18%)・実物資産(10%)を大きく上回っています。

図表2:AUMの内訳(2020年、10億ドル)

はぁー。このクレジット比率の高さは正直驚きでした。個人的にはPEたっぷりでしょう!という思い込みがあったもので・・・。

そのクレジットですが内訳は社債やローンなどのコーポレート・クレジットが50%、証券化商品などのストラクチャー・クレジットが20%、直接組成が7%、アドバイザリーその他が23%となっています。

図表3:クレジットAUMの内訳(2020年、10億ドル)

コーポレートクレジットだけでもすごいなぁ、という印象。

なんせ1630億ドルですから、約17兆円ってことですよね。ブラックストーンさんは別格としてカーライルさんが、約2200億ドルぐらいのAUMだったはずなのでその大きさを感じてもらえますでしょうか(ちなみに同社のクレジット投資はAUM全体の2割程度)。ApolloのクレジットAUMだけでKKR・カーライルを上回る規模となっています。

知見が要求されるストラクチャード・クレジットおいても642億ドルもの投資実績は業界屈指と言えるのではないでしょうか。特にダイレクトレンディングなど直接貸付も239億ドルとなっていまして、この分野に対する積極的な姿勢を垣間見た気がします。

ただし・・・・業績の波がはげしいんです

まずはこちらの図表を眺めて頂けますでしょうか。

図表4:Apolloの業績推移

AUMが伸びているにも関わらず、PLのブレが大きいと感じませんか

なぜこうなるのか考えたのですが、どうやら投資損益の変動が要因と見えてきました。手数料収入は安定してにも関わらず、投資損益が2018年にはマイナスになるなど大きく変動していまして、それが全体を不安定にしています。

図表5:Apolloの営業収入の内訳

上の表でいうと、青は安定していますが、ねずみ色のブレが大きいのが変動の要因と分かります。なんでこんなにブレるんだろうなぁ。ということで、

業績変動の理由を掘ってみる

投資分野ごとの損益

アセットクラスごとにみるとすれば、疑わしいはプライベート・エクティかな(笑)

実際にPE部門の業績は大きく変動していまして、1995年のサムソナイト買収に始まる同社の中でも最も歴史ある事業分野ですが、運用収益の”刈り取り”が出来ていないことが分かりました。

図表6:セグメント別部門利益の推移

やっぱり正解でした笑。AUMではそれほど大きくないPE部門が収益の変動要因になっています。

しかし・・・思い出してください。同社のAUMは年率22%で順調に伸びているんです。でも収益が全く伸びていない

クレジット部門も苦しんでいた

冒頭に書きましたが、クレジット部門の資産収益性(ROA=部門利益/AUM平残)が低金利と競争の激化で低下しているようでして、2016年当時は41bpあったROAが2020年には24bpに低下しています。ほぼ半減。

つまりはAUMの順調な増加がROAの低下で相殺されていました。

図表7:セグメント別資産収益性(部門利益/AUM平残)

これが本日のNo.1スライドかも知れません。PEの動きが大きすぎてうまく表現出来ないのですが、クレジットの収益性が過去5年で低下し続けている様子がご覧頂けたでしょうか。しかもPEの収益性がマイナスとは・・・・(2018年)

経営的な課題があるとすれば、ここを改善しにくると思われます。・・・ということで経営陣が打った手といえば、、、

やはり保険会社を取り込んできた

米保険会社Atheneの買収を発表

GFC以降、保険会社を持つメリットが注目されてきましたが、Apollo虎の子の資産と言えば、Athene Holdingsです。

2008年の金融危機で経営危機に陥ったSunAmerica Life Insurance Company、Bear Stearn's Insurance Solutions GroupなどがApolloの支援を受けて2009年に設立した保険会社でして、同社は順調に成長し2016年にIPOを果たしています。

図表8:Athene Holdingsの業績推移

いかがですか。見事なPLの伸び方でしょう。税前利益で20億ドルを超えており、Apollo本体の営業収益と同水準なんです。

IPO後もApolloは35%の議決権を持つ筆頭株主でありましたが、2021年3月にApolloはAtheneの買収を発表しています。買収金額は300億ドル程度と見込まれておりまして、全額株式交換による買収を予定しています。

業界の方であればご存知かと思いますが、Atheneの資産運用に関しては、かねてから運用アドバイザーを務めるApolloへの支払手数料水準が高過ぎるとの批判がありまして、訴訟も起こされていました。

今回の買収によりAtheneは非上場化され、その利益相反関係を解消しつつ資産運用機能の強化に走ったというわけです(ただし、グループ内での手数料のやり取りは連結消去されることから、Apolloの収益性が懸念され株価は下落しています)。

スキャンダルで創業者のレオン・ブラックさんが一線から退くことになりましたが、このAthene案件を牽引した貴公子マーク・ローワンさんがCEOとなり今後は同社を復活に導いていくことでしょう。今しがたWikiで確認したところ、58歳のローワンさん。イケメンでビジネスセンスが溢れ出すイメージが全開です。新生Apolloよ、光あれ!

それでは本日もよい一日をお過ごしください。