ブルックフィールド特集最終回
これまで様々な観点から眺めてきたブルックフィールド。そのライバル等を紹介しながら、強み弱みを考えてみたいと思います。
いつものように10-Kなどの公開情報を参考にまとめていますが、その記事・データの正確性までは担保できません事を予めお許し頂けるとありがたいです。
Writer in Chief:Takashi Miura
ライバルたちと比較してみる
AMPキャピタル
まずはオーストラリアの運用会社AMPキャピタルから。
AMPキャピタルは総合金融機関であるAMPグループの運用部門でして、預り資産は2020年6月末で1898億豪ドル(1豪ドル=80円換算で約15兆円)に達しています。
AMPグループのセグメント情報から業績を抽出したところ、直近の営業収益で8億豪ドル、税引後利益で1.98億豪ドルを稼いでおり、しかも営業収入の90%は安定的なマネジメントフィーということで安定・着実に成長している事業です。

AMPキャピタルの収益推移
マッコーリー・アセット・マネジメント

マッコーリーの本社
マッコーリー・アセット・マネジメントもオーストラリア最大の投資銀行であるマッコーリー・グループのアセットマネジメント部門です。その預り資産は2020年3月末時点で6057億豪ドル(同約48兆円)に達し、AMPの約3倍を誇る有力運用会社です。
マッコーリー・アセット・マネジメントの営業収益ですが、安定的なベースとなる”アセットマネジメントフィー”の比率は57%とやや低いのですが、可視化すると着実な成長が確認できます。

マッコーリー・アセット・マネジメントの収益推移
3社の利益を比較してみる
さて、先ほどあげた豪州運用会社2社とブルックフィールドを比較してみると、実はブルックフィールドの利益の伸びはライバル達を下回っていることが見えてきました。もしかすると課題はその成長性にあるのかも知れませんね。
図表:3社の利益比較(2015=1)

AMP・マッコーリーAM・ブルックフィールドの利益水準の比較
あくまで推測ですが、もしかするとブルックフィールドの資金調達力に起因するかも知れません。
豪州2社は銀行をグループ企業に持ち、資金調達の額、金利ともに有利と考えられます。一方、ブルックフィールドは格付けもA格下位からBBB格上位である上に、資産紐付け借入(ノンリコース)の比率が高く、金利が高めです。インフラファンドの場合、資金調達コストがパフォーマンスに大きな影響を与えると考えられますので、この点は要改善点と言えるかも知れません。
終わりに
やや急ぎ足になってしまいましたが、これでブルックフィールド特集を終えたいと思います。
最初はインフラ投資を中核とした運用会社だと思っていましたが、その中身は不動産を中核に再生エネルギーやPE、そしてクレジット投資にもエッジを持つ素晴らしい事業体であることに気づかせてもらった次第です。
普段日本語での報道を目にすることが少ない分野だけに、調べてみるとまだまだたくさんの発見があると思います。ぜひ引き続きお付き合いください。
本日も良い1日を。