増加するPEセカンダリー

FT記事:
Private equity’s sell-to-yourself bandwagon is a wild ride
FT Big Read: Selling to yourself より

今週FT記事で目に止まったのがPEセカンダリー取引であります。FT Big Readは紙面を丸々一面割く程の特集になるのですが、今回はContinuation Fund、もしくはGP-ledと呼ばれる世界について特集となっています。

マニアックな話題をしっかり取り上げる所がなんともFTらしいと尊敬してしまうのですが、プライマリー案件ですら(報道ベースで)身近だと思えないPE投資において、セカンダリーとなるとさらに縁が遠い存在に感じてしまいますよね。

日本でも年金基金の代行返上に合わせて、流動性を得るためのLP-led型セカンダリーは一時話題になりましたが、現在の主流はGPが主導するセカンダリーとなっており、そこに参加するSecondary PEファンドにも資金が集まることから、大きなエコシステムが形成されつつあることはご存知でしょうか。

話題のGP-ledですが、こちらは単一もしくは複数の保有資産を後継ファンドに移して同じGPがバリューアップなどで関与し続けるスキームです。この場合は既存LPも後継ファンドに継続参加しつつ(選べます)新しい投資家を募集して3−5年程度でExitを目指す、というのが通常のスタイル。

GPとしてはファンド期限に縛られずバリューアップの機会を得ることが出来ますし、移管の際には当該案件のキャリーを全額外部流出させず、相当の部分を後継ファンドに入れることでLPとのアライメントも図られています。

今回のFT記事ではGP-led案件が2019年に270億ドル程度であったものが、2021年には650億ドルに急増しており、この後もさらに増えるとの予測が述べられています。さらにセカンダリーPEファンドとしてはBlackstone、Ardian、Carlyle、Aresの名前が挙げられておりますがArdianの190億ドルのファンド組成に続き、Blackstoneも200億ドル規模の新規ファンド・ローンチを控えている様子。こちらもヤル気満々ですかね。

ただここにきてSECなど監督当局からも情報開示について検討がなされているようでして、第三者からの価値評価だけでなく、特別な事業上の関係”material business relationships”についても開示を要請するそうです。

このGP-led型案件についてはクロージングまで非常に早く(3−4ヶ月程度)個別資産の評価能力が要求されますので、投資家にも相当のスキルが要求される案件でもあります。この短い時間でGP-LP双方のアライメントを確保することができるのか。今後の隆盛もこの一点にかかっているのでは?と感じる話題であります。

暑い日が続きますが、今週もご自愛ください。

追伸
GP-ledについてもう少し話を聞いてみたいな、そう思われた方はお気軽にお問い合わせくださいね。

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