FT記事：
BlackRock to run $150bn of assets for insurer AIGより
オルタナ業界においては事務会計などのバックオフィス業務を中心にアウトソーシングが進んでおりますが、数年前から運用各社が力をいれているのが”フロント業務のアウトソーシング受託”です。これまでは中核業務として聖域だったCIO＝最高投資責任者の業務までアウトソーシングが進んでおります。
その中でも特大案件と思われる今回の報道、保険会社AIGの債券＋オルタナティブ投資のポートフォリオ、合計150Bn相当、つまり約20兆円の運用がAIGの手を離れ、BlackRockによって運用されることになったというニュースを取り上げます。
元々AIGが生命保険と退職年金の運用ビジネスを切り分ける、というビジネス決断を下している事が要因ですが、このAIGだけで、他の企業・年金も続々このアウトソースドCIOを取り入れている事実に注目です。FT記事の説明では、運用コストの削減だけでなく、規制当局への報告業務も任せる事で負担を軽減できるメリットに注目が集まっているとの事。
昨年3月時点ですが、アウトソースCIOサービスで運用されている金額は業界全体で既に2.5兆ドルにも上っています。成長率でいうとなんと年率22％換算で成長しているそう。これには驚きですね。
ちなみにこのAIGはBlackRockに業務委託をする前に、昨年すでにBlackstoneに$50Bn規模の資金を委託し、6年で$92bnまで増やす目標にて生命保険と退職年金の運用を一部移管したそう。大胆な経営判断を下して真っ最中。どうすればここまでドラスティックな判断ができるんかなぁ・・・。
“Partnering with an asset manager like BlackRock represents a continuation of our strategy to work with world class organizations as we deliver on excellence at AIG”-Peter Zaffino, CEO of AIG
運用資産総額でいうと既に10兆ドルを超えているBlackRockですが、アウトソースCIOサービスを提供し始めて、まだ4年しか経っていないそう。ですが既に多くの案件を獲得しており、著名年金のBritishAirwaysからも大型CIO案件を受注済み。
このAIG-BlackRockのコラボレーションは当局の承認待ちだと言う事ですが、BlackRockが誇るポートフォリオ管理ツール”Aladdin”の導入も含め、インフラ整備＋CIO機能の提供という合わせ技に魅力を感じるスポンサーも多いのではないでしょうか。
変動激しいマーケットに対しても、あるいは報告業務に忙殺されるガバナンス体制に対しても、なるほどこのアウトソースCIOビジネスの隆盛に納得です。