FT記事:Fund houses acquire ‘alts’ specialists to move beyond equities and bondsより
本日も話題はオルタナティブ投資。
15兆ドル規模と言われるオルタナ市場ですが、その中で大手運用会社がオルタナ専業の運用会社との経営統合・買収を進めている話題に触れてみたいと思います。
パブリック市場においてはBlackrockを始め、1兆ドル・クラブと呼ばれる著名運用会社が足元で活発な買収の動きを見せています。もう十分な資産規模なのに、まだ買うの?という疑問が湧いてきますが、直近でも以下のニュースが話題となっています。
Aliance BernsteinによるCarVal Investors買収/ Flanklin TempletonによるLexington Partners買収
調査会社プレキンのレポートでも投資家の86%が昨年と同等もしくはそれ以上の金額をプライベート投資市場に投じる予定とのレポートもあり、力を入れたくなる気持ちは分かるのですが、果たして大金を投じる価値はあるのか??
この動きを理解するために、本日は二つの視点をご提供したいと思います。
一つはオルタナティブの民主化、つまりは富裕層など個人に向けた販売が加速していく傾向。これは顧客基盤を確立している大手にとって、同じチャンネルにオルタナ商品を載せていく格好の機会を提供します。欧米ではiCapitalやMoonfareなどのオルタナ商品を小口販売してくれる販売会社が伸長していますが、そのような販社もしくは自社での販売に相当な”伸び代”があるということ。
本邦でも先週の日経新聞にてBlackstoneさんの一面広告に目を奪われた方は多かったのではないでしょうか。同社HPをご覧頂くと面白いのですが、富裕層向け焦点を絞ったコンテンツが掲載されており、かの会社の本気度を感じさせます。おそらくは世界的に有名な不動産ファンドBREITから商品を販売されていくのでは?と想像しておりますが、いよいよ本邦でもオルタナ投資が普及していくことが本当に楽しみです。
Penetration in the institutional channel is already quite high. There is much more room for allocations in the wealth management channel to increase
Rob Sharps, CEO of T Rowe Price
二つ目の視点はオルタナ投資の収益性になります。
ボストン・コンサルティンググループさんの調査によりますと、オルタナ市場は現在の15兆ドルから2025年には22兆ドルへの拡大が見込まれています。それでもAUM対比で見ると2割程度の貢献に過ぎません。ところが収益面での貢献で見るとなんと46%(2025年)の貢献になるとの予測になっています。これインパクトあり過ぎですよね笑。これ次第で収益が大きくブレる構図が鮮明になっております。
(当然ではありますが)すでに業界では深く理解が浸透しており、次の花嫁候補探しが活発です。記事を読んで驚いたのですが、運用会社の買収において事業価値はざっくりAUMの1%というのがこれまでの相場だったそう。ところが先に挙げたCarVal社の場合は何とAUMの5%に達している。(絶対額はさておき)これまでの5倍の値段でも買う人がいるんですよ。
パブリック市場のAUM競争という観点では出遅れた運用会社であっても、プライベート市場だったらまだ参入・シェア拡大の余地がある。パブリック市場に関連した商品の収益性がどんどん低下していく中で、オルタナ運用会社をめぐる戦国時代に突入しています。