投資戦略

Brookfieldの研究 Part3

第3回 ”視覚で感じる”ブルックフィールドの懐事情

第一回目はその生い立ちを、そして第二回目では会社としての特徴を表すキーワードを5つあげました。

加えて面白かったのが、インフラ投資部門の地域分散。バイアウトでは取れない地域が入って楽しかった。

さて、シリーズ三回目の今回は、ブルックフィールドの財務状況を探ってみたいと思います。今回はグラフを多用し”視覚で楽しむ”特集となります。

情報ソースは10-Kを始めとする開示資料に依拠しておりますが、いつもの通り正確性は保証できない旨をご了承ください。それでは始めます。

Writer in Chief: Takashi Miura

営業収益の伸びに注目

まずは営業収益です。百聞は一見にしかず、ということでこちらのグラフをご覧ください。

営業収益の伸び

Brookfieldの営業収益推移

営業収益の伸びがすごいですね。利益については資産の時価評価による変動によりブレが大きいのですが、拡大トレンドです。

ちなみに2018年から2019年の減益は、資産評価損益が26億ドル悪化したことが主因でして、ビジネスの勢いは衰えておりません。というか絶好調。

預かり資産の伸び

やはり業績拡大の背景としてはAUM成長が大きく貢献しています。投資機会の増加と、低金利の長期化による債券や株式からの代替投資ニーズをうまくつかまえていますね。

プライベート市場にお金が流れていることは肌で感じておりましたが、前回のブラックストーン含め「大手がより大きくなる」という資金循環を改めて感じます。ブルックフィールドもそのトレンドを体現する会社と言えましょう。

AUMと手数料対象資産

AUMと手数料対象資産

オレンジの棒グラフの伸びにご注目。

大手クレジット運用会社Oaktreeの買収効果もあり資産を伸ばすだけでなく、手数料を徴求できる資産比率が高まっています。質と量を飛躍的に伸ばしている。資産規模で50兆円以上の運用会社の伸びと思えない。

収益の安定性が際立つ

第二回で触れましたが、この会社はファンド管理報酬、あるいは投資インフラからの事業収入の割合が高い会社でした。言い換えるとPEとは異なり、キャピタルゲインは多くは望めないビジネスモデル。

となりますと、最も安定的な収入であるベース・マネジメント・フィーの高さが会社収益に直結します。さて、その推移は?

収益構成

Brookfieldの収益構成

青グラフがグングン伸びている。安定収益が全体の約85%を占めています。

巨大なバランスシート

今度はバランスシートを視覚的に理解してみます。

ブルックフィールドのバランスシートは3239億ドル、約32兆円(2019年末現在)と巨大です。ちょっと変わったBS推移図を出しますが、細かいブレイクダウンでなく、高さの推移にご注目ください。プラスは資産マイナスは負債+資産を意味しておりますので上と下を比較しても意味はありません(バランスします)。その推移の大きさにご注目ください。

BrookfieldのBS推移

Brookfieldのバランスシート推移

2015年からの年度推移になりますが、2015年と2019年の違いに注目。約3倍ですよ!

ブラックストーンとの比較も面白い

そして、自社バランスシートの活用法の違いにも注目。ブラックストーンと比較してみると、同じ運用会社でもここまで違う。

バランスシートの比較

AUMに対する自社バランスシートの比率

AUMに対して自社バランスシートの大きさ比較になりますが、ファンド化して連結しない資産が多いブラックストーンと、約32兆円という巨大な自社バランスシート使うブルックフィールド。

「ブラックストーンとブルックフィールドどっちを経営したいですか?」

もしそんな質問されたら、どう答えます?いや、可能性はないと思いますよw、だけど思考実験としては大変面白い。

「俺はキャピタルストラクチャーいじるのが何より大好きなんだ!」と言う方がいらっしゃれば、ぜひブルックフィールドにチャレンジしてみてはいかがでしょう?

そして資本政策の中身をみると

では、どのような資金調達をしているか。

Brookfieldの資本政策

Brookfieldの資金調達源

約32兆円を誇る総資産に対する資金調達源は、デット44%、エクイティ36%、その他20%となっています。

”その他”は企業間信用や税金負債など調整項目です。また借入うち殆どがノン・リコース型ローンとなっており、投資資産に直結、つまり本体への遡及は回避されているローンです。

資本項目36%のうち、25%はファンドへの投資持分であり、残りの11%が普通株式及び優先株式となっています。

勿体ぶって恐縮ですがこの辺りのキャピタリゼーションを次回細かく観察します。

念のために流動性もみておこう

収益面とAUMの伸びをみせてくれたブルックフィールドですが、念のために流動性も確認しておきます。目で見るとこんな感じです。

Brookfieldの流動性

会社レベルの流動性と有利子負債に対するカバー率

あれ?2017年から18年にかけてカバー率5%近く落ちてるんだ。上のBS推移を改めて見返すと2018年に有利子負債が増えてるんですね。メモメモ。

といいつつ、支払に備えた流動性は厳格に管理され潤沢。会社レベルで47億ドルの流動性を確保しています(2019年末現在)。流動性は現預金とクレジット・ファシリティ枠から構成されていますが、最近は現預金の残高増加を抑え、クレジットファシリティ枠の増加に注力しているようです。

結論:財務面の懸念なし

まったく当たり前の結論で申し訳ありませんw。今回は視覚的にブルックフィールドの財務を眺めてきましたが、死角が見当たりません。

どちらかというと、ここまでビジネスを作って、さらに何を目指していくのか、という未来志向の質問が中心になりそうです。Oaktreeの買収はうまく行っているように思えます。よってクレジット・PEの駒はこれで揃った。インフラ・不動産・再生エネルギーは自前のものがある。ここから何を伸ばして成長させていくのでしょうか。

ということで、次回以降の予告です

次回、第4回は資金調達について細かく観察

第5回は投資セグメント毎に長所・短所を考えてみる

そして最終回第6回はライバルAMPマッコーリーと比較してみます。お楽しみに!

それではよい一日を。

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