債券王だって苦労する テンプルトン・ピムコ・ダブルライン

2021年1月15日付けFT記事 Hasenstab hit by largest outflow among bond managers in 2020より

2020年は債券王たちにとっても試練の年

著名債券マネージャーMichael Hasenstab氏が率いるTempleton Global Bondファンドですが、不名誉ながら2020年で最も資金流出の大きいファンドとなりました。

先日のブログでVanguardとBlackRockへの資金流入に触れましたが(注:BlackRockは昨年12月末時点で8兆ドルを超えるどころか、なんと8.7兆ドルに到達した模様!!恐れ入りました)、反対にアクティブマネージャーで「債券王」と呼ばれるカリスマ・マネージャーたちの苦境と資金流出が報道されています。

2014年に$70Bnを超えていたHasenstabさんの旗艦ファンドですが、なんと$15Bnまで減っていたのですね。昨年の資金流出額が$10.5Bnとかなりの痛手の様子。年間のリターンはマイナス4.2%で、過去5年の通算リターンがプラス1.6%という不振ぶり

ベンチマークであるFTSE WGBIがプラス10%ということからも王の不振ぶりが目立ちます。2001年から同ファンドを運用しているHasenstabさんですが、有名にしたのは新興国の経済に対する正確な予測と投資でありました。

ところが2019年にアルゼンチン債に強気のポジションを取り出したことが裏目に出て(その後デフォルト)、さらに米国超長期債への投資や日本円を使ったヘッジ取引も想定通りには機能せず、同氏に対する懐疑的な目が向けられるようになっております。

これはHasenstabさんだけの苦境ではなく、ビル・グロスさんを継承すると言われた新債券王、Jeffrey Gundlachさんも同様。彼のファンドは昨年$5.4Bnの資金流出で年間リターンはプラス4.1%

債券運用会社PIMCOの著名ファンドPimco Income Fund$7.5Bnの資金流出。ベンチマークが7.5%に対して5.5%で着地。ビル・グロス氏との社内闘争を経て同社の経営者となったDaniel Ivascynと日系人のAlfred Murataの二枚看板が率いる、本邦投資家にとっても馴染み深いファンドです。

各国でワクチン接種が始まった2021年。明るいニュースと暗いニュースが未だ交錯する中で投資判断を行う彼らの重責やいかほどに。まったくお役に立てないのが残念ですが、僭越ながら遠く日本から応援のエールを送ります。

本日もよい一日を。

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