運用会社のバリュエーション Owl Rock, Dyal Capital

2021年1月22日付けFT紙 Listed private capital: Dyal it up より

運用会社自身がSPACを利用して合併する

最近ずいぶんSPACづいてるなー、自分の目がそちらを向いてしまっている事を感じていたので、さすがに今日は取り上げるのやめるか、とも思ったのですがどうしても見過ごせない。

新興ハイテク企業を買収する器として活用されるSPACですが、専門性の高い運用会社がビジネスを統合する際に活用するとどうなるのか。ぜひOwl RockDyal Capitalの動きにご注目ください。

クレジットのスペシャリストOwl RockとGP Stake投資のスペシャリストDyal Capital

あまり聞き覚えのない会社かもしれませんが、双方共に業界では知る人ぞ知るトッププレイヤーの一つです。Owl Rockは中堅企業向けの貸付、いわゆるプライベート・デットの有力プレイヤーです。

私のイメージでは業界がEBITDA$25MMを境にLowerとUpperミドルに区分される事が多いかと思いますが、同社は満遍なくLower からUpperまで手がける印象があります。https://owlrock.com/direct-lending/

この会社とPEや不動産に投資する運用会社(=GP)に資本参加する、「PEに対するPE投資」を手がけるのがDyal Capitalです。確かニューバーガーの傘下にあったかと思いますが、今回はそこから離れてOwl Rockと一緒になるんですかね。

注目すべきはバリュエーション

ではSPACで間接上場するとどうなるのか。ご参考までに申し上げておくとBlackstone、KKR、Apollo、Ares, Carlyleなどの上場PE運用会社は大体EBITDAに対して16倍で取引されています

今回のSPAC経由の上場では新会社に22倍のバリュエーションがついている。

もちろんPE運用会社のようにキャリード・インタレストで収益が振れる(特集Blackstoneの分析で触れたCarlyleのケースをご参照ください)事も少なく、BDCなどを利用しているおかげで調達が安定している面も評価ポイントです。

似た仕組み(SPACではないです)として既に上場しているHamilton Lane, EQT, Partners Group, Stepstoneなどが2022年の収益予測に対して32倍もの価値で取引されていますので、ここが一つの目線かもしれない。

いずれにせよ、SPAC経由で統合を果たしたことで新会社Blue Owl Capitalは既存株主にポンっと15億ドルを上乗せしてくれた。将来の収益目標に対して、今のうちに現金化しておく。

クレジットの専門家とGPStake投資の専門家が出した結論が「いまSPAC行っとけ!」なのでした。

本日もよい一日を。

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