2021年1月19日付けFTコラム BlackRock/Vanguard: ETF leviathans
先日よりお伝えしているETFに関する話題
VanguardのAUMが7兆ドルを超え、BlackRockが8.7超ドルと9兆ドルの大台が見えてきた運用業界。2社を合わせるとETFの残高だけで8兆ドルを超えるそうです。
さて、昨年2020年には全世界の投資家がETFに投じた資金は$762.9Bn、約77兆円だった訳ですが、これは2019年対比で34%の上昇。
このうち、トップ3社がどれだけの流入を得たのか
VanguardのETF資金流入量が$210Bn、Blackrockが$185Bn、そして三番手StateStreetが$40.2Bn獲得しています。なんと全世界の半分以上をトップ3社が得ているのです。どひゃー。
3社合わせたAUMは19兆ドル。およそ2000兆円。日本の個人金融資産が1900兆円ですから、いかに巨額かお分かりいただけるかと思います。
ところが金額以上に大事なことがあった
すごいねー、と議論が止まらない所がこの記事の面白さです。金額が大きいと当然ながら株主としての発言権が増して参ります。この上位3社が保有する議決権はどれくらいでしょう?
S&P500社で考えると、各社20.5%保有していることになります。
ただし、これは2017年のハーバード大学の調査に基づきますので、足下はもっと上昇していると考えられます。この時点でも1998年の5.2%平均と比べると既に4倍に。
しかも実際の有効議決権としては更にシェアが高まります。大部分の投資家が議決権そのものを行使することが少ないので、Proxy Voteの重要性が高まり、2040年までには有効議決数の40%を占める予測が出ています。
ある批評家に言わせれば「インデックスファンドは過度に経営陣に対して配慮しすぎる」との声もあり、資本効率を高めるために改革を迫る機運が乏しいとされます。
既に参入障壁は相当高い(StateStreetはETF事業の売却を模索していますので、その後継者になりますが)、かつ継続した資金流入が予想されますので、これら巨大ファンドの存在が資本市場効率化の”足枷”になっている、との声が出てくるかも知れません。
ROEを向上させるために改革を迫るアクティビストと真逆の「保守勢力」というレッテルを貼られるような事があれば、過度の資金流入を規制する動きにつながるかも知れない。
記事で言われるようにリバイアサンと表現されるような怪物になってしまわぬことを願っております。
それでは本日もよい一日を。