本邦金融機関が進む道

日経新聞特集記事:銀行150年新たな挑戦より

三菱UFJフィナンシャル・グループ社長 亀澤宏規氏 インタビュー記事より

本コラムで日経を取り上げることは珍しいのですが、MUFG社長の亀澤さんのコメントがすごく印象的でしたので、皆様と共有させて頂きたいと思います。

それは金融の「モジュール化」という概念です。これまでフルラインのサービスで提供するのが金融の常識でありました。銀行・証券・資産運用、分野は異なれど自前のサービスで一気通貫業務が”あたりまえ”のテンプレートでした。

その中で”必ずしも”顧客満足度の追求にベクトルが向いてこなかった、というのは大なり小なり金融業界内部の人間も含め感じてきた事ではないでしょうか。顧客よりも内部事情を優先せざるを得なかった・・・も含めて。

そこにスタートアップを中心とした新興勢力が活路を見出し、金融業界の生態系がより複雑化してきた、というのがGFC以降の大きな流れかと思います。そして既存のプレイヤーは複数の規制に準拠しながら戦わざるを得ず、苦々しい思いをしてきたこともありましょう。

そこにきて銀行を中心とした既存プレイヤーはどう発想して事業を革新していくのか。亀澤さんの言葉に激しく共感した私であります。

以下インタビュー記事からの抜粋です。

  • 銀行が預金や融資の担い手を独占する時代は終わり、銀行の機能をモジュール(部品)化して提供する時代に
  • これからは”一緒にリスクを取る”パートナーに進化する
  • サービスの中に金融を埋め込んでいくことで、銀行は黒子として支える部分は”増えていく”
  • 黒子を担うには信頼や安心感が強みとなり、強固なバランスシートと資本の安定性、それに正確で安定した事務が出来ることが条件となる。
  • (GAFAMなどは)非常に良いパートナーだ。彼らも銀行を作れると思うが、銀行規制の中に入ることになる。我々と同じ状態におかれわけだからそれほど脅威でもない。銀行を作るよりも組む方が得策なのではないか。

どうでしょう。米国ではGSとアップルが組むなどプラットフォーマーと既存金融機関のコラボが見受けられますが、必ずしもうまくいっていないのが面白い。MUFGのように徹底して黒子に徹していく、しかもモジュールだけ提供していくというのは米国流コラボとはまた違った視点かと思います。

これだったらいけそうです!そんな指針を見せてくれた亀澤さんに感謝を申し上げたい、かようなインタビュー記事でありました。

それでは今週もご自愛ください。

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