SPACとEVスタートアップの相性

2021年1月13日 FT紙 Automotive technology start-ups take a wild ride after Spac listingsより

https://www.ft.com/content/688d8472-c404-42d6-88b7-fbd475e50f7c

やはり最近目につくのがSPAC関連の記事。本日の取り上げるFT記事はSPACとEVスタートアップの組み合わせが投資家の注目を集めている、という話題です。

新興テクノロジー企業がSPACを経由して間接的に上場を果たす事例が増えていますが、その時価総額はすでに6兆円規模。そのうち数社はまだ1ドルも売り上げがないにも関わらず、です。

特に電気自動車、EVセクターでは昨年からSPAC経由の投資が増えており、3月以降市場の回復貴重が鮮明になると機関投資家の資金流入が増大し、その勢いが加速しております。

時代の勝者に早めにベットしておきたい、という気持ちもあり、バッテリー・車両製造・蓄電設備・Lidarセンサー開発など自律走行に必要なテクノロジー開発会社が大人気。

FTの調査によるとすでに9社がSPAC経由で上場しており、売り上げは9社合計で$139mm(2020年)と時価総額の期待に比べて、相当の乖離があります。こちらにはゲイツ財団とVWが支援するバッテリー会社、QuantumScapeや水素トラック開発のNikolaなどが含まれています。

ここで面白いのは、SPAC経由の上場だと何が変わってくるのか、という点です

通常のIPOよりもディスクロージャーに裁量があるらしく、SPAC経由の上場では将来の業績予想などを広範に開示できるようです。ちなみに先ほど述べた9社は円換算で140億円程度の売り上げですが、2024年には合計2500億円の売り上げ見通しを出しています。通常のIPOですと様々な前提に基づく収益予想の発表は厳しく制限されている点に違いがあります。

何を申し上げたいか、それは現在は売り上げが小さくても、一定の市場シェアがあれば、市場成長を大きめに想定でき(ある一定の根拠が必要でしょうが)、それに基づく強気の売上想定がつくれる=高いバリュエーションにつながる、という連関構造が存在するように思えます。

MA専門家の意見も記事で紹介されていますが、「伝統的IPOとSPACは法律的なアービトラージだ」との見方にもうなづけるのではないでしょうか。

記事を読んでも完全に理解できなかったのですが、SPACにも基準価格らしいものがあり、どのSPACも上場するときは$10/株がスタートらしい。これまで話した9社はいずれもその10ドルを大きく超え、中間値は20ドルを優に超える状況です。

ちなみに昨年SPAC経由の上場は37社が該当したそうですが、4分の3は10ドルを超えて推移中。37社の3分の1は20ドルを超えていると記事は報じております。

さて、リテール投資家にとってもハイテク・新興銘柄にすぐさまアクセスできる魔法の箱、SPAC。このトレンドは2021年も続くのでしょうか。

今日もよい一日を。

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