プライベート・ジェットは変わらず強気

2021年1月9日付けFT紙”Blackstone joins 3Bn pounds tilt at Signature Aviation” より

https://www.ft.com/content/9b21f3f3-e5f7-4655-a3c6-64ba8cce035a

日本ではスペース・ジェット(MRJ)プロジェクトが難航している報道が度々なされ、コロナ禍の中プライベート・ジェット市場も厳しいのかな、という勝手な印象を抱いておりましたが、ところがどっこいこの環境においても随分と好調な市場でありました。

本日の話題は英国のプライベートジェット運営会社Signature Aviation社をめぐる買収合戦の話題。有名GPが争奪戦を繰り広げております。

念のため、会社ページ(下記リンクご参照)を拝見したところ、スペース・ジェットのような製造メーカーでなく、地上で備品を供給したりする運行会社なのですね。

https://www.signatureaviation.com/global-reach/our-business

この会社に対してビル・ゲイツさんの資金を運用するCascade Investmentと組んでBlackstoneが40%のプレミアムを乗せて買収提案を行いました。企業価値30億ポンド相当。

面白いのは報道によりますと、Blackstoneが2年以上前からSAに対して買収の意向を示し続けており、今回の提案が第6回目に当たる点。プレミアムの水準は変化しているかもしれませんが、その姿勢はコロナ禍においても変化しない、ということでしょうか。さすがですね。買収が成立すればBlackstoneが7割、Cascadeが3割の保有比率になります。

Signature Aviation社はCarlyleからも買収提案を受けていることを発表しており、さらに先月には名門インフラファンド運用会社Global Infrastructure Partnersからも提案を受けています(株価算定が折り合わず提案を却下済)。

英国の買収法に基づくと、GIP、Blackstone、Cascadeの3社は1月14日までにファーム・ビッドを確定させる必要があります(Carlyleは2月4日まで)。

この人気者Signature Aviationですが、元々はBBA Aviationという名前で、なんとBritish Belting and Asbestosという名前でありました。19世紀後半にスコットランドで起業した小さな工場だったそうですが、改名してよかった!

コロナ禍において益々注目されるプライベートジェット市場。買収案件としてはそれほど大きなものではありませんが、こうした強気市場があることには改めて注目しておきたいと思います。

関連ブログ