2021年1月17日付けFT紙 Wall Street’s new sheriff is on a mission より
今週水曜日に宣誓式を迎える米国バイデン政権ですが、私が注目したいのは閣僚人事でもとりわけ、SEC長官への就任が予想されるGary Gensler氏です。
皆様、ぜひこの名前を記憶に留めておいてください。ポスト・コロナの米国経済、特にウォール街の動向を左右する人物として、バイデン・ハリス政権での要人となると予想します。少し彼の経歴を振り返ってみます。
- ゴールドマン・サックスの元パートナー
- 当時ルービンさんが管轄していたリスク・アービトラージ部門に所属
- クリントン政権下で財務省で勤務(財務長官となったルービン氏の引き抜き)
- 賢いが気難しいと評される、ラリー・サマーズさんの信任も厚い
- GFC後のオバマ政権において金融改革に力を発揮
- CFTC退職後はMITでファイナンスを教えていた
- その教科はなんとBlockchainとCryptocurrency
さて、これらから何を申し上げたいか。
リスク・アービトラージと言えばM&A専門家であります(特に法律)。そして投資銀行でのパートナー経験を活かした金融人脈。彼のインテリジェンスは高まることを知らず、ブロックチェーンや暗号通貨にも精通。つまり、
既存金融機関・新興FinTech企業とも真っ向から渡り合える人物が金融規制の中心地に座る
その混乱ぶりが連日報道される米国ですが、やはり人物の厚みはすごいですね。さすが、という人がきちんと選ばれてくる。リボルビング・ドアを嫌う民主党ですら、この人事に異を唱える声はわずか。
コロナ後さらに拡大するであろう経済格差の是正、環境問題と金融発展の両立、そしてブロックチェーンに代表されるフィンテックの進展と規制。ここを彼がコントロールしていくと読みます。
だからこそご注目頂きたい、バイデン政権の重要メンバーです。最後になりましたがFT記者、Rana Forooharさんのコメントです。
バイデン政権のアジェンダにおいてはSECの役割が大きくなる。それは市場の透明性と隠された費用(注:投資家が気づかない間に徴収されている手数料)の是正であるし、借手の弱みにつけこむ融資(predatory lending)、そして環境を脅かすリスクに関するディスクロージャーが主な対象となろう。
FT記事より Rana Foroohar記者
それでは今日も良い一日を。