米国住宅市場をチラ見してみる

金利上昇のニュースが目立つと、やはり覗いてみたくなるのが米国の住宅市場。

特にホームエクイティ価値に敏感な米国の消費者の動向に注目ですが、その反対側に位置する住宅ローンの提供者、特にノンバンク型のモーゲージ・レンダーの今を見てみることにしました。

下記の記事で取り上げるモーゲージレンダー2社の株価には今後もご注目ください。


FT記事:Non-bank lenders: market-grabbing play is risky businessより

金利上昇は、米国のノンバンク住宅ローン貸し手にとって悪いニュースであることは間違いない。預金やその他の銀行サービスを提供しないこれらの企業は、パンデミックの間、低金利による流動性の波に乗って、過去最高の2年間を満喫していた。しかし、現在借り換えの動きはぴたりと止まっている。住宅ローン銀行協会によると、2021年に4.4tnドルに達した住宅ローンの組成は、今年は50%近く減少して2.3tnドルになるとの見通しだ。

ノンバンクの住宅ローン貸し手の株価はこれを反映している。大手2社、Rocket MortgageとUnited Wholesale Mortgageは、今年それぞれ47%と41%の値崩れを起こしている。この2社は状況の改善を待つ代わりに、小規模なライバルから市場シェアを奪うためにインセンティブを高めることで、景気後退に対応している。その中には、一部の手数料を免除したり、特定の商品の利率を下げたりすることも含まれている。

ロケットとUWMの両社にとって、30年固定金利と10年物国債利回りの間にまだ大きな開きがあることには勇気づけられるだろう。連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、30年固定金利と10年物国債利回りのスプレッドは、年初の約135bpから、先週金曜日には240bpに達している。

このため収益性の圧迫からある程度保護されている。ロケットのモーゲージ売却利益率、これは住宅ローンをセカンダリーで売却した際の利益率を示す指標であるが、第2四半期には2.92%と、1年前の2.78%から上昇している。ただし、この水準は借り換えブームの絶頂期であった2年前と比べるとおよそ半分となる。UWMは僅かながらも上向きなのだ。つまりはこのマージンの微笑な上昇は、両社の事業がある程度安定していることを示唆している。

しかし、市場シェアのためのディスカウントにはリスクがある。ノンバンクは安い預金ではなく、借入金で融資を行うのだ。ノンバンクがローンを売却し、最終的には債券保有者に売却することで、多くの場合は代金回収を実行する。このモデルは、経済が好調なときには有効である。しかし、借り手の経済的な見通しが悪くなると、このモデルは難しくなる。RocketとUWMは間違いなく、より良い波が来ることを望んでいる。この時投資家は浜辺から見守るのが賢明だろう。


それでは今週もご自愛ください。

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