市場の申し子ロスチャイルドが言うことには・・・

FT記事:Rothschilds talk to wealthy French families on taking stakes in investment bankより

市場変動性が増すと、そこでサービスを提供する会社の業績も自ずと振れやすくなる。

当然ながらそれに追随する有価証券の変動性も高まる訳で、そのアンチテーゼとしてプラベート投資が拡大・拡張されてきたことは既に皆様がよくご存知の流れかとおもいます。

それに対して資本市場の申し子とも言えるロスチャイルド自身が「上場したままでいいのか。あるいは上場する意味があるのか」そんな事を発言するような時代になっています。

企業の上場化を力強く推進してきた主体が、自身は非上場化を選択する時代。私にとっては市場の限界と行き過ぎを強く認識させられるニュースであります。


記事より

ロスチャイルド家の持ち株会社であるコンコルディアは月曜日、世界金融界で最も有名な企業の一つであるロスチャイルド&カンパニーを37億ユーロで非公開化する予定であると発表した。

ロスチャイルドは、パリに上場しているこのグループに対する買収提案のために、銀行や現在および将来の株式投資家と交渉しているところである。プジョー家とダッソー家はこの取引に投資する準備を進めていると、この状況に詳しい2人の関係者は述べている。(ダッソー家は現在でもロスチャイルド・アンド・カンパニー(Rothschild & Co.)に出資している)

プジョー家の考え方に詳しい人物は、今回の投資は「彼らの投資方針に沿ったものであり、(両家は)似たような価値観を共有している」と述べた。

コンコルディアはロスチャイルド・アンド・カンパニーの株式の38.9%を保有しており、同行の株式を約50~55%に引き上げる計画だ。この取引条件に基づき、同行の100名ほどの従業員パートナーは、現在5%にとどまっている同行の株式保有を拡大する予定である。

ロスチャイルドは約10億ユーロの資金を調達する必要があるが、事業に負債を積み上げることになる従来のマネジメント・バイアウトの取引は避けたいと、このブティック型投資銀行への投資に関心を持つ関係者は述べている。ロスチャイルドとプジョー一族はコメントを拒否した。ダッソー家はコメントを求めたが、すぐには返答がなかった。

世界最大のアドバイザリー部門で最もよく知られ、ウェルス・マネジメント、アセット・マネジメント、マーチャント・バンキングを含むこの事業の非公開化は、何年にもわたる社内議論の末に実現したものだ。

これらの事業はいずれも外部資本を必要とせず、銀行の経営陣は株式上場が長期的な考え方と相容れないと考えた。

7代目の経営者であるアレクサンドル・ド・ロートシルトは今週、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、同グループは「上場の限界と可能性の極地に達した」と語った。さらに、「私たちのDNAは、非上場企業である方がずっと適している」とも述べた。

ロスチャイルドの上場は、戦略的な決定というより、歴史的な偶然に負うところが大きい。1982年に社会党のフランソワ・ミッテラン大統領によって国有化された後、アレクサンドル・ド・ロートシルトの父デイヴィッドは、会社をゼロから再建した。

長老のド・ロートシルトは、ロスチャイルド家の持株会社となる前に19世紀から上場していた廃業したフランス鉄道会社、パリ・オルレアン社を通じてフランスでの活動を再開させた。2015年、一族は投資銀行の名称をパリ・オルレアンからロスチャイルド・アンド・カンパニーに変更した。


どうでしょう?市場の申し子である投資銀行自身が「”reached the limit and full potential of the listing”=上場の限界と可能性の極地に達した」と発する、この言葉って重く響いてきませんか?

それでは今週もご自愛下さい。

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