”よりクリエイティブ”になっていくPE業界

エントリー時期によってはバリュエーション低下で悩むPE業界ですが、投資リターン向上を目指して”よりクリエイティブ”になっているとのFT記事。投資家としては今後のヒアリング項目に加えたい事項がさらりと書かれておりますので、共有させて頂きます。


FT記事:PE firms face worst year in decade for exit strategyより

PE運用会社は、金利上昇と地政学的緊張がバイアウト業界の好況に終止符を打った後、投資先企業の売却において過去10年間で最悪の年を迎えている。

PitchBookのデータによると、今年最初の9ヶ月間で、PE運用会社は、企業の完全売却または株式公開によって5,840億ドルを調達した。

この金額は、昨年同期にPE業界が調達した金額に1,000億ドル以上及ばず、借入コストが低く米国株がまだ強気相場だった2021年に記録した1.4兆ドルの約3分の1にとどまっている。

金利上昇は新規株式公開市場に打撃を与え、企業は買収に慎重になっている。PE会社が投資先企業を現金化した額が少なかったのは2013年以来である。

この数字は、世界最大の年金基金や政府系ファンドを含む投資家に対し、投資を収益化し資金を還元しようとするPE会社が直面している課題を強調している。最も影響力のある投資家の一人であるシンガポールのGICは7月、バイアウト業界の黄金時代は終わったと警告した。

ある業界幹部は、PE運用会社は依然として投資先企業の「2021年価格」を求めており、潜在的な買収者や一般投資家は金利上昇、経済見通しの悪化、ほとんど低迷しているIPO市場を反映したバリュエーションを求めていると述べた。

投資先企業を希望する価格で売却するハードルが格段に高くなったため、PE会社は投資家のために従来とは異なる方法で売却益を得ようとしている。投資家への分配資金を調達するために、上場会社の株式や資産ポートフォリオを担保とするファンド貸付や Net Asset Value ファイナンスを利用することが増えている。

法律事務所リンクレーターズのパートナーであるデビッド・マーティンは、PEグループは、厳しい状況を背景に、投資家のためにキャッシュを生み出す方法を見つけるために「よりクリエイティブ」になってきていると述べた。

投資家を代表する業界団体であるInstitutional Limited Partners Associationは、より多くの負債を引き受ける姿勢に厳しい目を向けている。フィナンシャル・タイムズ紙が今月初めに報じたところによると、同協会は、バイアウト・グループに対し、こうした融資の利用を適正化し、そのコストを開示するよう求める提言書を起草している。

中略

また、Continuationファンドを利用するPE運用会社も増えている。これは古いファンドの資産を新しいファンドに売却するものである。ファンドの投資家は通常、このような資産譲渡の際にキャッシュアウトの機会を提供される。

英国を拠点とするプライベート・エクイティの経営幹部200人を対象にした最近の調査によるとContinuationファンドは、IPOや資産の競売よりも、案件の収益化を目指すPE会社にとってより良い選択肢と考えられていることがわかった。


それでは今週もご自愛ください。

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