2021年1月4日付 FT紙コラムLEX Non-alcoholic drinks: the sober truthより
https://www.ft.com/content/25b1694a-828b-4b41-9b01-63aeb8fd98a4
アルコール飲料の新しいトレンド”No and Low alcohol”、略して”NoLo”という言葉を初めて知りました。私がノン・アルコールビールを嗜むこともあり、LEXコラムの記事につい目が止まってしまいます。
ノンアルコールは気軽なんだけど美味しくない、というのがこれまでのイメージでしたが、企業努力のおかげで随分と美味しく頂いています。そのNoLoですが、コラムによるとコロナ禍の前までは年率8%で市場が成長していたそう。
流石にコロナの自粛の影響もあり、その足元は伸び悩んでいるようですが、アルコールありの飲料に比べると相対的に落ち込みは少ないそうです。
この流れは続きそうで、若年層の脱アルコール化が進行中で、WHOの試算によると今後2025年までに人口あたりのアルコール摂取率は1.4%減少し、40.3%となり、醸造技術の発達により更に低下するかもしれないと伝えられています。
最近「ゲコノミスト」という言葉を我が国でも目にしましたが、思ったよりアルコールを嗜む方が少ないのですね。足元の動きを整理してみても、かなり各社アクティブに活動していることがわかります。
- 醸造会社のCarlsbergは欧州でノンアルコール飲料のシェアをこれまでの3倍、15%を目指して積極展開
- Heinekenはノンアルコール飲料は自分たちのアルコール飲料カテゴリーを侵食せず、同時展開できるとの調査結果を報告
- ワインで有名なJacob’s Creekはノンアルコールのジン製造会社Ceder’sと提携
- Diagioも代替ジンの製造会社Seedlipを買収。これはミシュラン星付きのレストランでも採用されるほどの美味しさとか
- またこのDiageoはシカゴ本拠とする代替ジン・ウイスキーを製造するRitual Zerpも買収
考えてみれば昨年は代替肉に代表されるように、環境や生活スタイルに適合した代替物が市民権を博した年でありました。であればNoLoにとっても追い風トレンドなのかもしれません。
最後になりましたが、記事では1960年頃から人口あたりのアルコール摂取量が図示されています。そのフランスとイタリアを示す線の傾きに目が吸い込まれました。下落がすごいんですよ。例えばフランスだと一人年間25本消費(1961年)、これが年間11本消費(2021年)に。(注:詳述されていませんが、ワインのボトル数でなく、純アルコールに換算した単位数らしいので、実際のワイン・その他お酒はより多く消費されていると推測)イタリアも同様ですが、半分以下になっているんですね。輸出に力を入れる理由がよくわかりました。
さて、今後のキーワードとしてのNoLo。頭の片隅にどうぞ。
本日は以上です。