Total:気骨のエネルギー戦士

2021年2月18日付けFTより Total chief warns of renewable energy bubble

フランスのエネルギー企業Totalが面白い

ShellやBPなどの名前に比べると日本ではやや知名度が劣る?Totalでありますが、CEOのインタビューが面白い。ESGやエネルギー投資に関係している方にはぜひご覧になって頂きたい記事です。

化石エネルギー企業において脱炭素化の動きが加速していることは以前のブログでも触れましたが、Ecole Polytechnique とEcole des Minesという2つのグランゼコールを卒業しているCEO,Patrick Pouyanne氏のインタヴュー記事です。

再生エネルギーはバブル化している

世界有数のエネルギー企業のCEOはこう話します。

確かに”石油・ガス企業”と呼ばれるより、”エネルギー企業”と呼ばれたい。グリーン・エナジーへの転換は否定しないし、むしろそれを目指してはいる。しかし再生エネルギーの現状はあきらかにバブルだ。

気候変動問題に取り組まなければ化石燃料関連の企業に投資しない、という投資家が増えている中で57才のCEOは更にこう言います。

We will solve the climate change challenge just because there is no more equity invested in oil and gas majors, that’s something completely wrong.

再生エネルギーの入札事例

FT記事にグラフが添付されているのですが、いかに”バブって”いるか、視覚で迫ってきます。

英国と米国で2016年からの大型再生エネルギーの入札事例を視覚化しているのですが、2018年まではせいぜい$300mm程度だったものが、2021年から$1bnを超えだし、大きいものは$2.5bnの入札価格になっている。

2021年は断絶の年に

さらに驚くのはSeabed cost/capacityの上昇ぶり。言い換えますと”$m per GW”、さらに言い換えますとギガワット発電能力あたりの入札価格ということになりますが、以下の推移をご覧ください。(入札時期 地域:$m/GW)

  • Dec 2016, New York: 21
  • Dec 2018, New Jersey: 98
  • Dec 2018 Massachusetts: 54
  • Dec 2018 Massachusetts: 56
  • Dec 2018 Massachusetts: 56
  • Feb 2021 UK: 454
  • Feb 2021 UK 456
  • Feb 2021 UK 846
  • Feb 2021 UK 512

いかがですか?2021年はGWあたり$400mm以上も払っており、案件によっては$800mmを超えている。果たしてこのタイミングで再生エネルギー設備を購入する必要があるだろうか、とPatrickさんは言うのです。

企業が生き残りをかけて戦っている中、特にエネルギー関連企業は大きな減損を強いられ、株主と環境団体から大きな圧力に晒されています。

しかしながら企業のトップとして市況を冷静に見極め、合理的でない判断はできる限り避ける。まさに気骨のCEOと呼べましょう。

本日もよい1日を。

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